代表取締役の役員退職金の支給で否認されないための準備
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代表取締役の役員退職金の支給で否認されないための準備

2013年12月12日(木)1:09 PM

最近、相続税増税の影響で、役員退職金に関するご相談が増えました。

私が所属する税理士会でも研修で取り上げられています。

毎月、雪谷支部の税理士会主催「雑談会」での研修でも「役員退職金」の話が毎回登場します。

私は打ち合わせの際には、後で見ることができるように、お話しする内容をまとめております。打ち合わせの時は理解していただいても、いざ実行に移す時に重要なことを見落とさないためです。

今日、お持ちした資料はこのような感じです。

役員の分掌変更に際し、みなし退職として退職金を支給する場合「経営上主要な地位の引き継ぎ」が行われていることに注意が必要です。

  役員の分掌変更に際し、その役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、その分掌変更等によりその役員としての地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。と示されています(法人税基本通達9-2-32)。

 

例)

1. 常勤役員→非常勤役員

2. 取締役→監査役

3. 報酬→「分掌変更」前の50%以下

分掌変更後、経営にタッチすると、実質的に経営上主要な地位にいることになり、「分掌変更」による退職金支給は認められません。

事例をあげると、下記のようなものがあります。

1 非常勤役員になってからも今迄通り出社して、部下から報告を受ける

2 設備取得、修繕等の決定に関与している

3 従業員の営業活動を指示している

4 人事、給与査定等の決定に関与している

5 新規契約、取引先選定など経営上重要な決定に関与している

 

<平成19年3月13日付けの最高裁>

以前は上記3つの要件で、退職金を支給しているケースがありましたが、平成19年に上記の条件を満たしたとしてもそれだけでは事実上の退職と認められないという決定が出ました。

この裁判で指摘された点は、

(1)報酬が半額になっているが半年前に報酬を上げておいてそこの金額から50%減少させている

(2)代表取締役を降りたにも関わらず、それを知らない得意先もいた

(3)得意先の担当が以前と変わらなかった等

があげられています。

今後は対外的にも退職したことをよりアピールしていくことが必要といえます。

 法人税法基本通達9-2-32の注意書きで「法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まない」という文面も追加されました。

従って、実際に退職金を支払った年度が損金算入の時期になりますので、通常の退職金の取扱いと相違しておりますのでご注意ください。

また、分掌変更等の退職金についても「退職所得の受給に関する申告書」を会社側で保管することが必要です。

これからも退職金の判例は要チェックです。



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