【税法】自社株の話1
「親から子供へ財産を贈与したい」
という相談は以前からありますが、この財産が親が創業したような非上場会社だったりすると、その会社の評価をどうするかという問題が生じます。自分が持っている会社、つまり自社株の評価をしなくてはいけません。
創業者の場合は、出資した金額である300万円または1000万円が自社株の評価額だとお考えの方も多いのですが、自社株の評価額は税法でちゃんと規定されています。
300万円で出資した会社が毎年利益を出し続けていたら、その価値は300万円ではありません。
110万円の贈与税非課税枠を使う場合、会社の評価によって課税されたりしますので、会社の株価評価がポイントとなります。
また、株式の移転も贈与だけではなく、譲渡のケースもあります。
贈与は贈与税、譲渡は所得税と法律が異なります。
親から子供への株式移転の場合、贈与で移転しますが、その場合は相続税法上の時価である財産評価基本通達により算定します。
財産評価基本通達では原則として、同族株主には原則的評価方法が適用されて、同族株主以外の株主には例外的評価方式が適用されます。
原則的評価方法は特例方式より評価額は相当高くなります。
支配権を有する株主と有しない株主で価値が変わるのは当然ですが、これが話を複雑にします。
税務上の時価は、算出方法が税目により異なるだけではなく、取引上の各立場(売り手や買い手)によっても異なります。
つまり、売り手が支配権を有する株主で買い手が少数株主である場合、またはその逆の場合もあるため、売り手と買い手により時価が異なってしまいます。
一般的には譲渡の場合は買った方の立場に注目して税務上の時価を考えます。
時価より著しく低い金額で譲渡した場合は、時価との差額をみなし贈与(相7条)として買い手が課税されます
くどいですがこの場合の時価は、買い手の立場での時価です。
例えば買い手が少数株主であれば、特例的評価方式である低い価額の譲渡であってもみなし贈与の可能性はないだろうと一般的に考えられています。
ところが、これで安心してはいけません。
この評価通達により株価を算定しても評価通達によるべきではない特別な事情があるとして、否認されるケース、伝家の宝刀と呼ばれる財産評価基本通達6項を適用した最近の最高裁判決は、今までの考え方を変える必要がありました。
株価対策、資本政策は、節税ありきでは否認されます。
法律の趣旨をよく理解せず、ネットの情報や営業などの情報を鵜呑みにするのは危険です。
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